2013年5月2日木曜日

靖国・領土 中韓の学生はどう考えるか?

ソウル大の国際関係大学院では毎週一回、国ごとのランチミーティングが開催されている。
今日のチャイニーズテーブルのテーマは日本の靖国神社参拝と領土問題。
(以下、中国と韓国の学生との議論の議事録です!)

①日本の政治家はなぜ靖国を参拝するのか?
・植民地時代を正当化するためではないか。(韓国)
・自国の民族主義を高めることが狙いではないか。(中国)
・政治家が靖国神社を参拝する理由は、自分たちより強大であったロシアやアメリカと戦った記憶を国民に喚起させるということ。現代の状況にあてはめれば、日本の安全保障上の脅威は中国であり、ホットなのは尖閣問題。参拝のメッセージは、中国の台頭に対しても、理に沿わないことがあれば、日本は毅然と立ち向かうということだと思う。

・靖国の記念館の掲載物の内容は戦争を美化するものが多いがなぜか。(中国)
・靖国記念館の掲載物の内容は日本の主流派の意見を代表するものではない。むしろ、少数派の見解を示すものであり、基本的に政府のコントロールを受けていない。

・日本の多くの人は靖国参拝をどう考えているのか。(中国)
・中国や韓国の批判を理由に日本のリーダーが参拝を行わないというのは、クールじゃないということ。この問題に対して、韓国や中国の主張を踏まえて考えている人はそんなに多くない。(※この点に関しては、国内でも意見が割れていて、靖国神社に祀られている兵士に敬意を表してほしいと願う方々がいる一方で、近年の靖国関連訴訟にあるように、自分たちの家族を合祀するのをやめてほしいと考えている方々もいる。)

・日本の歴史教育を変えることは可能か。(中国)
・不可能ではない。難しい歴史問題について、学生が日本と諸外国の双方の立場を勉強するのは大切なことだと思う。

②尖閣や竹島を始めとする領土問題にどう向き合うか?
・精神的な問題である靖国と違って、尖閣には資源という実益が絡む。近いうちに、空母が尖閣に向かうことになるだろう。(中国)
・また、以前と違って、世界は中国の言葉をより聞くようになっている。(中国)
・中国のソフトパワーは高まっているので、むしろ挑発を差し控えるべきではないか。(中国)

・韓国は領土問題について中国と立場が近い。ICJに行くという提案は受け入れ難い。竹島に関する条約等では日本に有利なものが多く、ICJでは韓国に不利な決定が下される可能性が高いからだ。しかし、法的文書のほぼ全ては力のなかった韓国が日本や国際社会に強制される形でつくられたもの。正義は、わたしたちにあると思うし、それがICJで覆るとしたら耐えられない。それに、実行支配の法理等の西洋の慣習をベースとするルールは、アジアの領土紛争には適用できないのではないか。(韓国)

・竹島の二島(西島、東島)を日韓で一つづつ分割することを授業で提案してたよね。個人的にはその意見は検討する価値があると思う。(韓国)
・僕の意見は日本ではかなり少数派だけどね。(一同笑い)

・私は、やっぱり独島は韓国の領土だと思うけど、議論していくことで少しづつ自分の立場をニュートラルなものにしていけるよな気がする。(韓国)
・第二次世界大戦や歴史問題に対する日本の立場をはじめて聞いた。良い、悪いを判断する前に、まずはお互いの主張を理解することが大事だよね。(中国)
・実は中国は尖閣問題を棚上げにしておいて欲しいと思っている。この問題は、南沙諸島や台湾やチベットなどの国内問題とも繋がっている。日本の姿勢を東南アジア諸国が注目している。また、尖閣には台湾も絡んでいるから、中国としては扱いにくい問題なんだよ。(中国)

※関連1;「一流の国、日本」という観点から靖国神社参拝や政治家の姿勢について考える。
※関連2;Japanese people's perception of WW2 and Yasukuni Shurine

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